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アメリカ出張日記(12) 崩壊したアメリカの難民認定制度

アメリカに難民受け入れは二つの流れがあり、一つは国務省が担当するrefugee システム。日本の第三国定住制度に近い。年に最大12万人ほど受け入れる。 もう一つはAsyleeシステムで、国境や国内で難民認定申請する。国道安全省が担当する。日本の難民認定制度に当たる。今回はその制度について。 (このほかにImmigrationシステムがあって、合法的移民が年に100万人ぐらい入国する。くじ引き制度もその一つ。アメリカの人口が増える理由がこの移民政策、それと難民流入) 。 「難民認定率が日本よりずっと高い」など日本の支援団体関係者の間で評価されるアメリカの難民認定制度は、実は全く機能していない。 今日、ブリーフィングを受けたクリス・ハリス氏などの話では、バイデン政権になってからアメリカで難民認定申請をする者の数は急増し、年間で100万人前後。国境で難民申請をしたり、本来の留学生ビザが切れてから申請すると、聞き取り調査はないまま、収容されることもなく、何年何月にどこどこの難民審査官事務所に出頭するようにと書かれた紙を渡されて解放される(これをアムネスティという)。数が多すぎて収容などできないのだ。 日本では難民認定申請がされればまずは調書が作られる。年間4000人ぐらいの申請数で少ない。場合によっては収容される。 問題は、アメリカでは審査待ちの申請者が200万人ぐらいいるため、制度がパンクし、難民審査官とのインタビューが何年も先になり、10年近く先の日時を示されることもある。それもあって9割近い者(大雑把に言って90万人)は指定された日時に出頭せず、1200万人と言われる不法滞在者の大海に消えてしまうこと(この1200万人という数字も推定で、実数は2500万人との推計もあるとか)。 人権団体が褒め称える難民申請者非収容の対価は不法・非正規滞在者の増加だ。 アメリカの難民認定率は指定された日に真面目に出頭した10パーセントの者だけについて算定される。そんな数字に意味はないし、アメリカ人は関心すら持たない。関心を持つのは日本人だけかもしれない。 本当の問題は、現行制度のもとでは、難民制度を使って難民性のない者が毎年100万人近くが入国して大半が不法滞在者になることと、本当の難民が何年も認定結果を待たざるを得ないことだ。アメリカの認定制度は破綻している。


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