韓国と日本は難民政策の点で共通点が多いが、今度はクーデター後の在留ミャンマー人の支援で競っている。
韓国法務部(法務省)は、自らのイニシアティブで3月に国内在留のミャンマー人に特別在留措置を始めた。同国外務省はタイに逃げてきたミャンマー避難民のためのキャンプ設置も決めている。
日本でも、外務省がミャンマーODAの見直しを発表したのに続き、入管庁が在留ミャンマー人で在留資格が切れる者のうち希望者に緊急避難的な在留許可を与える対応を開始した。難民認定申請は迅速に処理し、不認定でも在留/就労を認める。非正規滞在者についても個別に準じた対応がされる。
これらの対応の中長期的インパクトはまだ予測できないが、いくつかのインプリケーションは見えてくる。
第1に、外交的には、両国とも外国の国内問題、特に人権問題に対してはものを申さない傾向が強いが、今回はODA政策による外交的メッセージに加えて、在留資格をミャンマー人に寄り添う形で運用することで軍政に対して、つまり内政のあり方について、両国とも明確に「ノー」を伝えることになる。より積極的な人権外交の始まりと言えるだろう。
第2に、外国人の保護という観点からは、入国時における難民申請の審査でなく、在留期間中における本国事情の変化をもとに数百、数千人の外国人(ミャンマー人)に保護を与えるというのは、緊急の特例措置とはいえ、重要な先例となる。非正規(不法)滞在者を含めて就労を認め、収容中のものの退去強制もしないという。意外ともいえる内容だ。
難民条約には入国後の状況変化により難民となる「後発難民」というコンセプトがあるが、それに該当する者が出てくるのではないか。すると、入管庁が作業を進める「難民認定ガイドライン」の適用に際して、「後発難民」適用の最初の事例がミャンマー人になる。難民申請を待たず、先手を打って保護に乗り出したのは評価できる。
第3に、日本と韓国は難民政策(特に難民認定制度)では競い合ってきた。韓国は難民条約加入や第三国定住プログラムでは日本に後れを取ったが「難民法」の制定では日本に先んじた。両国とも地理的環境や言葉、社会的意識などにより難民受け入れ数が先進国では最下位レベルだが、今回のミャンマー対応を通して協力関係ができ、前向きの政策競争が始まるなら、より多くの難民が救われる。日本と韓国はミャンマーの若者たちに人気が高い国だが、両国の前向きの対応は歓迎すべきだ。
Comments