2019年の難民認定の結果が入国管理庁から発表された。難民認定申請者の数は 10375人(18年は10493人)、認定されたものは 44人(18年は42人)と人道配慮による在留許可が37人(18年は40人)の計81人(18年は82人)だったので、申請数も保護数もほぼ横ばい。処理数は 7131人だった(18年は13502人)から、いわゆる「保護率」は1.1%になる(18年は0.6%)。
申請者の出身国を見ると、ここ数年多かったフィリピンやベトナム、インドネシアなど東南アジア諸国出身者が 大きく減った。他方で、これらの国からの「技能実習生」などは大きく増えている。難民認定制度の誤用・濫用と思われる者に対して「稼働を認めない」、「在留を認めない」などの抑制措置が取られたため、技能実習など「稼働」できる資格に流れているのかもしれない。
他方で、アフリカ諸国からの申請者が増えて1000人を超え、難民を生み出す国のランキング上位5か国からの申請者も毎年増えるなど、日本での難民申請者のプロフィールは世界の難民状況をより反映するものに変わってきている。
認定された者もほとんどが中東・アフリカの紛争国出身者で、例えば戦乱の続くアフガニスタンは申請者24人中16人が認定された。政争の続くベネズエラ出身者も3人が認定。注目すべきはUNRWA(国連パレスチナ難民共済事業機関)の支援下にあった無国籍のパレスチナ人2人が条約難民と認定されたこと。
認定・不認定の 事例集によると、申請理由に「近隣とのトラブル」など難民条約と関係ない理由を挙げる者は毎年減ってきている。ここにも申請者のプロフィールの変化が見られる。
これらからすると、日本の難民制度の運用は、近年に見られた混乱を少しずつ乗り越え、正常化に向かっていると言えるかもしれない。もちろん、多くの問題と課題は残っている。
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