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静かに進む難民開国

インドシナ難民受け入れを上回る規模とスピードで、日本への難民受け入れが進んでいる。今年の「難民」受け入れは1万人になる。

日本が初めて本格的に難民を受け入れたのは、1978年から2005年までの28年間に約11000人を受け入れたインドシナ難民だ。2010年に始まるミャンマー難民の第三国定住での約200人の受け入れを含め、入管庁統計では「定住難民」とされる。

1982年に始まった難民認定を経ての受け入れは2021年までで915人で、「条約難民」と呼ばれる。この数が少ないとして、長年に亘り「難民鎖国ニッポン」と揶揄されてきた。

第3のカテゴリーが「その他の庇護」とされるもので、難民とは認められないものの、本国事情を考慮して(補完的保護)、または日本人との婚姻など人道的な配慮から在留を認めた者で、1991年から計3289人が救済されてきた。

3つのカテゴリーを合わせて15717人が今まで日本が庇護した広義の「難民」だ。

しかし、去年から日本に庇護される広義の「難民」が激増している。3万5千人いたミャンマー人については、昨年二月のクーデター以来、本国事情を考慮して(補完的保護)今までに7千数百人の在留が認められた。

昨年8月のアフガニスタンの政変後に日本に避難したアフガン人830名のうち、条約難民と認定された者は約130名で、残りの大半も難民認定か「補完的保護」を受けるだろう。

注目を浴びる2000人を超えたウクライナ避難民は、「戦争難民」であり条約難民とは言い難いが(彼女たち自身、難民認定を求めず、申請した者は5名のみ)、「補完的保護」の定義次第でその対象となる可能性があるが、現時点では本国情勢にらみの「一時的保護」扱いだ。

「台湾有事」の際には、西南諸島に数船人、数万人の避難民が渡ってくる現実的な可能性があり、彼らも「一時的保護」の対象となるだろう。ただ「一時的保護」は在留資格には存在せず、対象者の権利も明確ではない。「補完的保護」と並んで「一時的保護」の内容を詰める必要がある。

とまれ、日本で2022年に庇護される「広義の難民」は1万人を超える勢いなのだ。来年までには、過去40年の総庇護数15717人に迫るかもしれない。

今までより弾力的な「難民認定ガイドライン」が公開・活用されれば、条約難民認定数も増えるはず。

ちなみに、UNHCR駐日事務所やNPOなど民間主導の「留学生としての難民受け入れ」は、日本社会に新しい風を吹き込む上で重要性を増しているが、入管庁統計には入っていない。

数が増える中で、日本語学習、就労支援、住居探し、子供の教育などが重要で差し迫った問題になる。難民を含む外国人との共生問題だ。

幸いにも、今のところ日本社会は静かだ。欧米諸国に見る反難民移民運動や政治問題化はない。規模は小さかったものの、難民定住支援の制度もでき、難民支援団体も増えて専門化したこと、更に、外国人が日常の生活のなかにいることが当然のこととして受け入れられているためだろう。日本社会がより包摂的になったのかも知れないし、慎重に外国人に門戸を開いてきたことが良かったと言えるかもしれない。

とまれ難民をめぐる新しい時代が始まった。

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