ウクライナ避難民の受入れが始まった3月ごろ、駐日ウクライナ大使は日本に来る避難民は200人ぐらいではないかと言ってた。僕もそう思った。しかしすでに避難民の数は1600人を超し、毎月100人ぐらい増えているから、ウクライナでの戦況にもよるが、年末までには2000人になるのではないか。インドシナ難民の受入れの規模だ。
来日する避難民が増えている理由は単純ではないが、政府の積極的受入れと在留支援と同時に、自治体や市民によるきめ細かい支援がウクライナや周辺国に伝わり、日本に逃げようかという気持ちにさせているのではないか。予想外の「受け入れブーム」が伝わり、それがさらに引きつけ要因になっているのだろう。難民・避難民の動向には「評判」が大きく影響する。評判効果、情報効果ともいえる。
それで思い出すのは、2012年、ミャンマー難民のタイからの第三国定住事業において、わざわざ迎えに行ったのに、30人の受け入れ枠に対して応募者がゼロで、政府関係者がひどく落胆したこと。2010年に初めて来日した第一陣が受け入れ支援に不満を持ち、それがキャンプ内で様子をうかがっていた難民に伝わって、希望者がゼロになってしまった。
以来、日本国内での受け入れも次第に整備され、ノウハウも積み重ねられてきた。今回、自治体などがウクライナ避難民の受入れから多くの経験を得て、避難民が納得するような支援体制ができるなら、難民受け入れ態勢はさらに改善する。
ウクライナ避難民への優遇策への批判、不満は当然出てくる。ほかの国からの難民や避難民にも同じ対応をせよ、というものだ。それについては別途ポストするが、ミャンマーやアフガンからの難民申請に対しても難民認定や補完的保護がかなり与えられているようだ。アフガニスタンから自力で避難してきた3人家族も先日、難民認定を受けた。
今年中に難民認定や補完的保護を受ける人々の数は記録的になるだろう。難民開国、少なくとも難民鎖国の終焉が進む。
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