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日本の「難民認定率」は1%? 3.6%? 35%? 50%?

「難民認定ガイドライン」に続いて、昨年の難民認定数などが入管庁から公表された。

 予想されていたことだが、日本で在留を認められた者の数は1962人と過去最高となった。そのうち難民認定を受けた者は202人、人道配慮による在留許可が1760人だった。この10年ほどの趨勢を見ると、日本の難民に対する門戸は確実に広がっている。「難民鎖国」は終焉を迎えた。

 ただし、この数字には、難民申請をせず「特定活動」資格で庇護されている約2000人のウクライナ人や、ミャンマー緊急避難措置の下で庇護されている約8000人のミャンマー人、同様に「特定活動」資格で在留するアフガニスタンやシリアからの避難民は含まれていない。この統計はあくまで難民認定申請をした者だけが対象となっているからだ(ウクライナ避難民で難民申請をしたものはわずか6名ほどに留まる)。昨年に日本で広い意味での庇護を受けた者は1万3000人だが、その大多数は入管庁の難民統計に入ってこない。統計と実態に大きなギャップがある。

 このことはまた「難民認定率」の問題を示す。「日本は難民鎖国をしている」ことの証拠として「難民認定率は1%以下」などと大手メディアも書くが、それは通常は「難民認定数」を「実質処理数(取り下げを除外した数)」で割ったものだ。昨年の場合は、認定数202を実質処理数5605(処理数7232から取り下げ1632を引いたもの)で割った3.6%がそれだ。

 しかし欧州諸国(EU)の計算法では認定数に「補完的保護数」が入る。昨年の日本の場合は「本国事情を考慮した人道配慮」の1760人が補完的保護に該当するが、それを入れると認定率(より正しくは庇護率)は35%になる。

 ウクライナ避難民約2000人は、2021年に入管法が改正されていれば「補完的保護対象者」になっていたはずで、その場合、戦争が続く限りはその在留資格が更新されると入管庁が言明している。実質的には難民認定と変わらない2000人の「補完的保護」の数を入れると認定率(庇護率)は50%に上がる。

 日本で庇護されたが難民申請はしないミャンマー人や、近年に増えている「留学生としての難民受け入れ」を含めればさらに数字が大きくなる。1%、35%、50%のうちどの数字が日本による庇護の実態を表すと言えるだろうか?

 不服申し立てをどう処理するかなどを含め、「難民認定率」の計算には各国が守るべき国際的に統一された方法がない。したがって各国(または支援団体など)が「認定率」を政治的に利用しやすい。最近の状況変化を無視して「日本の難民認定率は1%以下」と言い続ける一部メディアはその例だ。

 「難民認定率」の使用にとって更に致命的なのは、難民申請する機会すらを奪われることが世界的に広がっていることだ。アメリカでは昨年、バイデン政権のもと240万人ぐらいが入国を阻止された。そこには何十万人もの難民性の高い人々がいたろう。来る5月からは、難民申請者はメキシコなどの経由国で難民申請をしたと証明できなければ米国での難民申請を認めない。イギリスは、英仏海峡を渡って不法入国する人々を追放し、将来の再入国や難民申請を認めない法案を準備している。オーストラリアが難民移民船を領海に寄せ付けないのはよく知られている。ウクライナ避難民の大量受け入れで称賛されるポーランドも、北部のベラルーシとの国境では中東アフリカからの移民難民数千人を軍隊が実力で追い返し、国境に鉄条網の壁を建設している。

 これらの国の「難民認定率」に、難民申請もできず追い返され、実質的に難民不認定とされている数十万人の「申請者」を加えるなら、それらの国々の難民認定率は大きく下がる。同じく下がっているのは、難民を国境で追い返し難民保護の大原則である「ノン・ルフルマン原則」を公然と破っているこれらの国々の難民政策の「質」だ。日本はそのようなことはしない。

 このように「認定率」で難民政策を評価することには多くの問題と限界があるが、日本のそれが大きく上昇していることは、一つの指標としては歓迎すべきことだ。

 なお、日本の難民認定の「質」をみる上で、入管庁発表にある「難民として認定された事例、不認定とされた事例、人道配慮をされた事例」が興味深い。

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