昨日の入管法改正を巡る参議院法務委員会の谷合正明議員の質問の中で、補完的保護について重要で具体的な質疑があった。本来、国会ではこのような議論がなされるべきだ。補完的保護認定の手続きについて入管庁次長の答弁から以下をメモした。詳細は参院法務委員会リンクの谷合議員の質疑にある。
① 難民条約にいう5つの理由(人種、宗教、国籍、特定社会集団、政治的意見)で迫害があれば難民、それ以外の理由の場合は補完的保護となる。補完的保護の該当性は、紛争や無差別暴力、拷問禁止条約など国際人権法に反する扱いを受けるなど
② 難民認定も補完的保護対象者の認定も「迫害」を前提とするが、ロシアによるウクライナ侵略は「迫害」にあたり、一人一人の申請者が(ロシアの)個別的迫害の対象とされる必要はない
③ 申請者は難民認定か補完的保護対象者認定の申請を選択できる(補完的保護だけを求めることもできる)
④ 難民認定申請があって難民と認定されなかった場合でも、法務大臣が補完的保護対象者と認定できる
⑤ 補完的保護対象者と認定されると、原則として難民認定者と同等の処遇(定住者としての在留資格や、日本語教育などの定住支援、社会保障、永住条件の緩和など)を受けることができる
⑥ 唯一の違いは補完的保護対象者には「難民旅行証明書」が発行されないこと(これは再入国許可証の発行で代替)
⑦ 難民とも補完的保護対象者とも認定されない場合でも、本国情勢の悪化など人道上の配慮が必要な場合には人道配慮によ在留許可が申請ないし職権で付与され得る
これにより、ウクライナ避難民の大半は申請すれば補完的保護対象者となるだろう。
さらに議論されるべきは9500人前後のミャンマー特別措置対象者の処遇。ミャンマーの場合は、外国からの侵略ではなく、クーデタを起こした国軍が少数民族などの国民を無差別・大規模に迫害している。多くはクーデター当時に日本に適法に在留していて、クーデターを逃れてきた者ではないという特殊事情があり、後発難民(refugee sur place )ないし後発補完的保護対象者に当たるかが問題になろう。今は人道配慮で在留特別許可が与えられているが、公表された「難民認定の手引き」によれば、かなりが補完的保護対象者と認定されるべきかもしれない。その場合、数が多いから予算措置も必要。
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