戦争と難民
バイデン政権の判断が正しければ、ヨーロッパの真ん中で近く戦争が起こる。数千、数万人の死者が出て、最大で100万人の避難民が生まれる。
ミャンマーやアフガンからの最近の難民流出は国内紛争によるものだが、今回ウクライナから難民が出るとすれば、それは外部からの侵略戦争によるものだ。
ウクライナでの紛争は複雑な背景から長いあいだ続いており、同国東部ではすでに1万4千人が死亡し、140万人が国内避難民になっている。
今回の危機は、歴史的経緯はさておき、今では独立国家となったウクライナにロシアが公然と侵略(侵攻ではない)する姿勢を見せていることから始まった。
多くのウクライナの市民は、ロシアの武力侵略が始まれば、自分が、子供が、親が死ぬかもしれない強い不安のうちにあるだろう。それが分かっていて政治家は戦争を始める。
戦争を始めるのはロシアだけではない。実際、アメリカは世界各地で戦争を始めた。戦争に伴う多数の難民の支援はUNHCRなどの国連機関や国際人道支援NGOに委ね、多額の資金協力もする。難民も多数受け入れる。片手で放火し、もう一方の手で消火する「マッチポンプ」のようだ。
UNHCRなどはすでに戦争が起こった場合のシナリオを作り、支援物資の拠点配備などをしているだろう。悲劇と人道危機が起きることを認識しながら、それを回避する力を持たない人道機関の無力感は大きい。それでも命を助けるために出動するのが人道機関の使命と宿命だ。
遠くの日本にいてできることは限られる。現場で難民や国内避難民を助ける組織や人道ワーカーを助ける官民の資金協力はその一つだ。それをすることは日本の責任でもあろう。