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変わる(アフガン)難民への対応

 カブール陥落以来1年が経った。アフガン情勢についての報道は減っているが、同国での問題がなくなったわけではない。タリバンによる少数民族や旧政権関係者、女性などに対する激しい迫害は今も続いている。

 日本にも在アフガン大使館やJICAで働いていた現地職員約400人のほか、元日本留学生など約300人が退避している。タリバンの支配の過酷さを見れば、また状況に改善の見通しがないことを考えると、彼(彼女)らが難民申請をすればその多くが難民認定を受けるだろう。彼らのプロフィールは、難民条約にある難民の定義にぴったり当てはまるからだ。実際、すでにかなりの数の退避者が難民認定を受けているらしい。

 思い起こすのは2001年の9.11同時多発テロ後の10月に、難民申請中の9人のアフガン人が入管によって摘発・収容された事件。当時もアフガンはタリバンに支配されていて、迫害状況は同じようなものであったが、9人は難民認定を受けるどころか強制送還される可能性すらあった。9.11事件を受けて入管・警察はパニックになったのだろう。事件を受けて入管局とUNHCRの関係は極度に悪化し、僕が2007年に駐日事務所に来たときは、両者の間にはまともな対話はなかった。

 それから20年、アフガン人への認定が多く出るようになった。それだけでなく、ミャンマーやウクライナ出身者への政府の対応を見ると、難民・避難民に対する日本政府の姿勢は大きく変わった。これら出身国での客観情勢が変わったのが一番の原因だが、政府の姿勢も変わってきている。今年の難民認定者数や「補完的保護」を受ける者の数は、千人単位の記録的なものになるだろう。日本が難民条約に加入して40年、いよいよ「難民鎖国」には風穴が開きつつある。

 もちろん課題はある、と言うよりは増える。数千人に上る難民や避難民への支援のあり方だ。国、自治体、民間のうち誰が日本語学習、住宅、就労、学校、医療などの支援に責任を持ち、誰が費用を負担するかの調整や制度設計はこれからだ。一万人を超すインドシナ難民の受入れに際しては、不十分な定住支援が様々な不幸を生んだ。今回は同じ失敗は繰り返せない。

 視野を広げれば、日本に逃げるどころか、今年の冬には97%が貧困に陥り、食糧不足が悪化するアフガニスタンから脱出できない国内避難民や、自分の家で命への危険に耐えている数千万人の人々がいることを思わざるを得ない。

 1951年の難民条約は、他国にたどり着き、保護を求めることができるだけの体力、資力、ネットワーク力を持ち、かつ難民の定義に合う者だけを救う。そのような力を持たない者、定義に合わない者には、難民条約は意味を持たないのだ。

 政府は、アフガニスタンとウクライナから日本に保護を求める一部の人々の避難を積極的に支援しており、それはとても良いことだが、その対象にならない残りの人々への姿勢も問われる。同じ問いは日本社会にも向けられる。

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