ミャンマーのクーデターのため帰国できない人が増えている。在日ミャンマー人は35000人だが、在留期限が切れる人が増え始めている。その中で日本はどう対応できるかを、韓国の事例を含めて検討したシンポジウム。
長年難民問題に関心を持ってきた中川衆議院議員と谷合参議院議員という与野党の国会議員が参加したこともあってか、前向きな議論だった。タイムリーなニュースは、現状では、ミャンマー人については正規・非正規滞在者を含め、退去強制はしないということを入管庁が言明したということだ。当然、今後来るかもしれない人にも当てはまろう。結構重要な先例となる。ホッとするミャンマー人が多かろう。
難民申請3回目のカチン族の女性の話が重要だ。ヤンゴンやマンダレーなどミャンマーの都市部での国軍の残虐な弾圧が広く世界に知られるようになったが、カチン州など周辺部では国軍は同様な弾圧を少数民族に対して60年以上続けていた、ということだ。国軍による少数民族弾圧は2011年の民政移管、2016年のNLD政権下でも続いた。このことはビルマ族中心のミャンマー人ですら知らなかったか、関心がなかった。
民政移管後、入管庁は少数民族出身者の難民申請をほぼすべて却下している。欧米諸国での認定率はその間もあまり変わっていない。これが示すことは、入管庁がミャンマー周辺州の現地情勢の判断を誤り、帰国しても迫害の恐れなしと判断したためだろう。
クーデターで国内状況が激変したミャンマー人の在留資格については、全ての人に対して特例が適用されるべきだろう。入管法改正案が流れ、補完的保護や申請に基づく在留特別許可の枠組みによる大量救済はできなくなったが、運用上で特例(何らかのアムネスティ)を設けることはできるはずだ。
韓国では法務部(法務省)が主導で救済策を実施しているというのも興味深い。
このような前向きのシンポジウムはどんどんなされるべき。
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