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国連専門機関トップに日本人?

まず、なぜ専門機関のトップに日本人がいなくなったのかをよく分析する必要がある。

国連専門機関のトップは選挙で選ばれるから、選挙に勝つには国内と同じく地盤(出身地域の支持)、看板(肩書・地位)、カバン(カネ)が要るだけでなく、当選してから190前後の加盟国と渡り合う政治力と職員(職員組合)の支持を集める人望も必要だ。

中国は40年以上にわたって戦略的に国連機関に中国人を送り込み、カネ(背政府開発援助/ODA)の力でアジア・アフリカ諸国に地盤を築いてきた。今では15の専門機関のうち4つのトップを獲得し、アメリカに代わって国際機関に影響力を及ぼそうとしている。

日本は1990年代にODAが世界一でカネはあったが、経済停滞と共にODAも減り、国連機関への分担金・拠出金でも中国に抜かれた。アジア地域での支持基盤も堅いとは言えない。日本の地位がいろいろな分野で下がり続ける中で、国際機関を巡って中国に対抗するのは難しいだろう 。日本人がトップになることの「付加価値」を国際社会に説明し、多数の支持を得られるのか、冷静な判断が必要だ。

政府は、国家公務員から国際的に注目される看板を掲げられる人材を発掘するということだが、それも容易ではない。名刺信仰・肩書教が流布する日本でこそ中央省庁の大臣や幹部の肩書の威光が通用するが、国際機関で問われるのは「で、あなたは何をするつもりなの、何ができるの?何を達成したの?」という「個人としての国際競争力」であって、ローカルな肩書は通用しない。

日本で評価される「東大卒」の肩書も、ハーバード、スタンフォードなどの前には影が薄い。しかし局長・次官と出世するほど周囲が何でもやってくれる(というか何もしない方がいい)日本の官僚は国内の肩書を信奉しがちだ。

国際機関トップには原稿なしで英語で国際会議の議事進行ができたり、タフなメディアの質問にその場で応じたり、英語の文書を書ける語学力(できればもう一か国語)が必要だ。(中国語は国連の公用語だから中国人はこの点で有利だ)。

発信すべき自分のビジョンを持っていることも求められる。今の国連事務総長アントニオ・グテーレスが難民高等弁務官だったころを身近にみていたが、彼のビジョン、情熱とそれを英語・フランス語・スペイン語で自在に伝える雄弁さは語り草だ。

将来的に可能性がある戦略は、毎年60人ぐらいの若手公務員を2年間諸外国の大学院に留学させる人事院長期在外研究のOB/OGだろう。課長・部長クラスで数年間、関連国際機関に派遣して呼び戻し、国際業務に従事させて国際的ネットワークを広げ、また出向などして最後にトップに挑む長期戦略だ。ただ、定員が削られ人が足りなくてカロウシすら珍しくない中央官庁が、ひとりでも優秀な職員を失いたくないと考えるのも無理からぬこと。

もう一つの長期戦略は、毎年50-60人採用される外務省JPOが国際機関内で上昇するのをサポートし、内部からトップを狙えるようにすることだろう。オフィスポリティクスが渦巻く組織内で昇任していくのはとても厳しいので、外務省などのサポートは大切だ。去年から国家公務員もJPO になれるようになったので、彼ら/彼女らを上記のように専門機関と出身省庁の間を往復させて、将来のトップ人材にする手もある。

いずれにしても、国連機関への拠出金のあり方を含め、思いつきでないコミットメントと長期戦略が必要だ。

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