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入管法衆院参院付帯決議の重み

15もの付帯決議が付いたことに驚いたが、これらは参院での審議とともに、UNHCR駐日事務所が2014年の難民認定制度専門部会やその後の協力覚書で入管庁に提案した事項の多くを反映している。

UNHCRは今回の法改正に際して(2021年のように)表立った批判をせず、国民民主党などとの「静かな外交」を通して日本の認定制度の質的な改善を図った。賢明なアプローチであり、結果に結びついた。これら付帯決議は長期的に大きな意味を持つ。

2021年には廃案、今年は可決となった入管法の委員会審議を見て、法案成立までのプロセスにおける政党の戦術の良し悪しが決定的であると痛感する。

国民民主党は、現実を見据えた議論を通して付帯決議を作り、難民認定制度と収容送還制度の改善に貢献した。立憲民主党は一部の理念重視の議員に引きずられて一切の妥協を排した結果、現実の壁にぶち当たり、結局は法案の中に形になるものを何も残せなかった。民主党の血を引くのだろう、政治家にとって最も重要である「責任倫理」を放棄し「心情倫理」で突き進む姿、太平洋戦争末期の自爆攻撃「特攻隊」を思い起させる姿勢は、国政を預かった場合にどうするのか国民に強い不安を覚えるさせる。

付帯決議は重要だ。いったん付帯決議が付くと、それは法律の一部となるから、毎年の国会審議や趣意質問書の提出などを通していずれは実行を避けられない。

今回の付帯決議1では補完的保護対象者認定の際に考慮されるべき具体的内容が示されている。決議4では〈送還停止効〉の例外の実施について5年以内の見直しが求められた。他方で決議7は難民認定に掛かる予算・人員の拡充を促し、決議15は入管庁の予算、組織、体制のあり方も検討するよう求めている。予算人員組織の強化は、法務省・入管庁にとっても悪い話ではない。

(組織体制の見直しでは、持論だが、まずは入国管理課にぶら下がっている難民認定室を分離・独立させ、(韓国のように)難民政策課とするべきだろう。)

前回(2021年)と今回の法改正がもめた一つの理由は、法務省入管庁による情報公開と説明が不十分で、法案についての理解が進まなかった(誤解が広まった)ことにある。「よらしむべし、しらしむなかれ」の組織文化を変える時だ。

例えば、理解を進めるのに有効である出入国在留管理政策懇談会(政策懇)は第7次政策懇が2020年暮れに役割を終え、その後は立ち上げられていない。弁護士団体のメンバーも参加する政策懇の議事録や資料は全てホームページ上で公開されるから、もし第8次政策懇が立ち上げられていたなら、例えば改正案の「立法事実」の有無についても有益な議論ができただろう。法改正を機に、入管庁は情報公開と政策説明に真剣に取り組むべきだ。

例えば入管庁広報官というポストを作って、週2回の大臣の記者会見とは別に、テーマを決めて毎週に記者懇談会を開くというのはどうか。(僕は2007-8年の駐日代表時代にそれをやって好評だった)。

ちなみに、斉藤健法務大臣は、覚悟を持って法案改正に臨み、無理難題にも耐え、隙のない答弁に徹した入管庁次長とともに大役を果たした姿は印象的だった。

今回の法改正で、日本の難民政策は大きな転機を迎える。5年ぐらいたてば状況は大きく変わっているだろう。

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