入管法改正案を審議する衆議院法務委員会で参考人として意見を述べたときにもらった法案と参考資料の2冊。いずれも衆議院や参議院のホームページ(立法情報など)で閲覧できるが、掲載までに時間がかかったり、全部印刷すると900頁になるので、印刷された本をもらえるのは役得。
左側が法務省の法改正担当部局が準備した入管法改正案と関係資料で約500頁の本。担当部局は国会開会中は朝早くから夜遅くまで働く。法案の準備から関係省庁との協議、内閣法制局審査、与党の審査での説明、与野党の国会議員への根回しや質問への回答、法務委員会での審議の際の大臣の答弁の準備と補佐、メディア対応などやたらと忙しい。入管法改正案以外にも法務省関係の法案があるので、国会開会中は激務だ。
右側は衆議院調査局法務調査室が作った入管法改正案についての参考資料。410頁ほどで、法案の背景、概要、内容、主な論点、前回(2021年)の改正案との違いなどのほか、参考資料として「収容・送還に関する専門部会」「難民認定に関する専門部会」「難民認定の手引き」、日弁連の意見書、国際機関の見解、諸外国の法制度、各種統計などが収められている。内閣とは独立した国会の組織だから、法務省の言い分だけを集めたものでなく、野党の対案なども発表され次第に加えられる。他の法案についても似たような資料が作られる。
僕も知らなかったが、議院の調査局の仕事は委員会決議や報告書原案の作成、国会議員への助言や参考資料の作成など多岐にわたる。そのため、衆議院調査局には法務委員会など30前後の委員会ごとに調査室(スタッフは5~10人)があり、調査局スタッフの総数は360名。参議院調査室にも250人ほどのスタッフがいる。
法律の作成や改正には膨大なエネルギーが費やされるのだ。そのひとつの成果であるこれらの本に含まれる情報は、入管法改正賛成派も反対派もできるだけ使うべきだ。そうすることで感情的で無意味な対立・分断を少しでも減らすことができる。
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