去年の5月ごろの国会での入管法改正審議では、収容問題、というよりビデオ開示問題が延々と議論されて、「補完的保護対象者(準難民)」についての議論はほとんどなかった。しかし、去年8月のアフガン人退避問題や今年2月のウクライナ避難民受け入れ問題で、補完的保護の枠組みの重要性が急浮上してきた。
ウクライナ避難民が優遇されているといった声があるが、彼女たちが持っている在留資格は「特定活動」と呼ばれるもので、最近アフガン退避者133人が得た難民認定による「定住者」資格に比べると法的な安定性はずっと低い。
難民認定を受けると、在留期間は5年(更新可能)だし、強制的に祖国に帰されることもない。社会保障も日本人と同じように受けられるから、最悪の場合は生活保護も受けられる。「特定活動」にはそのようなものがないし、退去強制もあり得る。
なら難民認定を受ければいいではないか、と考えるが、難民と認められるには「人種、国籍、宗教、特定の社会集団、政治的意見」という5つの理由で迫害を恐れる者であることが確認されなければならない。ウクライナ避難民(のほとんど)はこの5つの理由を満たさないため、難民と認められる可能性はごく低い。何よりも、ウクライナ避難民で難民申請をする者はごく少ない。帰国できることを期待しているのだ。
「補完的保護」は、5つの理由を満たさなくても、国内紛争や外国の侵略から逃げて来た場合などに与えられる。だからロシアの侵略を逃れて日本に避難したウクライナ避難民は「補完的保護」を受けることができる。しかも、補完的保護の対象者となると、難民認定を受けた者とほぼ同様な待遇が受けられる。
今年中には2000人になりそうなウクライナ避難民を始め、アフガンやミャンマーからの避難民をできるだけ多く、早く救うために「補完的保護(準難民)」制度の早期創設が必要だ。
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