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入管法改正案と立憲民主党の政策決定過程

入管法改正案について、政府与党は「おお、そこまでやるの?」と思うほど多くの譲歩をしたが、立憲民主党はそれでも反対との報道。「廃案一択」ということだ。

これで、政府原案に維新が求めた難民調査官や参与員の能力強化、出身国情報体制の整備などの修正だけを加えた改正案があすにも法務委員会で可決され、本会議に送られる。維新は、現時点で自党が出来ることと出来ないことを理解して動いている。

法務委員会の質疑からは、立憲の寺田学筆頭理事や米田隆一理事が「責任倫理」から最大限の譲歩を引き出そうと苦心し、それなりの成果が出るのだが、「心情倫理」で動く左翼系の委員がその足を引っ張っている姿が見える。法務部会の中ですら立憲の内部がまとまっていないのだ。

2年前も、立憲民主の要求を大幅に入れた与野党修正合意が成立しかかったが、立憲はそれを蹴った。今回も一部支援団体と組んで「廃案一択」でやってきたから、大きな方針転換はできない。またもや「盥(たらい)の水と一緒に赤子を流す」ことになる。政府与党は喜んでいるのではないか。

野党が提出した対案は、国会の議席を数えれば成立しないことは誰にでもわかる。それでも妥協や修正を排除し、原理主義的な玉砕戦術を突き進む立憲の一部議員の行動は、結果よりも心情と感情に基づくもの、責任倫理より心情倫理を重視するもので、大局的に国を率いる責任ある議員の行動とは思えない。「熱い心」はあるが「冷めた頭脳」がない。

立憲の最高指導部も「対案作りに協力してくれた支援者への裏切りになる」といった心情論理に引きずられている。法案改正を通した難民救済より、党の支持基盤を守ろうとする内向きな姿勢が、今回の立憲の不可解な政治判断の背景にあるのではないか。立憲よ、しっかりしてくれ。

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