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入管法改正と「立法事実」

特定の難民参与員の処理件数とか、大阪入管の医師の飲酒問題など個別の事例を取り上げて、入管法改正の根拠(立法事実)が崩壊したから廃案にすべきだといった議論が一部にあるが、それはあまりに近視眼的議論で、まともな立法論とは言えない。

 入管法改正の必要性(立法事実)は、10年も前の2013年に出入国管理政策懇談会の下に設けられた「難民認定制度にかかる専門部会」がすでに認識している。当時の「立法事実」は、「紛争難民」などの保護の枠組みがないこと、難民認定制度の濫用誤用が増えていること、難民認定の「基準」が不透明なこと、参与員(や立会員弁護士)の資質に問題があることなどだ。これらは今でも妥当する。その上で専門部会は2014年に4つの改善策を提言している。

 その4つとは①補完的保護の制度の導入、②難民制度の濫用の抑制、③難民認定基準の公開、④難民認定に関わる者の能力向上(研修や出身国情報体制の強化)だ。その全てが今回の改正案に反映されている(難民認定基準は難民認定の手引きとして法案の外で公開され、送還停止効問題は別の専門部会の提言を反映)。

 つまり今回の改正案は、10年越しの制度改革がほぼ完成に至ったという事情と、2021年以来ミャンマー、アフガニスタン、ウクライナから受け入れられた1万3500人の難民・避難民に安定した法的地位を与える必要性が重なる中で国会に提出された。

 難民制度改革がここまで進んでいなければ、短期間の1万3500人もの難民・避難民の受入れは混乱を招いただろう。28年間に亘るインドシナ難民1万1千人の受入れがかなりの混乱を伴ったことを思い出すなら、今回の静かな受け入れは驚きですらある。

 見方を変えれば、今回の法改正は、何か新しいことを始めるのではなく、すでに実行されてきた改革や施策を事後的に入管法に反映する作業と言える。

 参考までに5月27日(土)の移民政策学会特別企画「入管法改税を考える」における僕の発表の一部を添付する。

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