入管法改正案を審議する参院法務委員会で印象に残ったことのメモ。
① ウクライナ避難民、アフガン退避者、在日ミャンマー人などに対する特別措置を加えて計算すると、昨年の日本の「広義の難民庇護率」は70.9%であったことが入管庁によって確認された。これは欧州諸国に比肩する。
ミャンマー人を中心とした1481人の人道配慮を入れた「難民庇護率」は29.8%、単純な「難民認定率」は3.3%となる。いずれも一部で引用される「認定率1%以下」よりはるかに高い。昨年に何らかの形で庇護された者の数が1万3500人にも上ることからこれは当然だが、一部NGOやメディアはこういう高い数字を(意図的に)無視している。「難民認定率」が入管庁批判のために政治的に使われているのだ。
難民認定率の議論で忘れられていることは、英米を中心に、難民条約を無視して国境で難民申請者を何十万人も追い返している最近の動き。この「門前払いによる不認定」を入れると欧米の難民認定率はぐっと下がる。日本は門前払いなどしない。
② 参院法務委員会では衆院法務委員会と同じ質問が何十回も繰り返され、同じ答えが法務大臣と入管庁次長から何十回も繰り返される。時間の無駄だが、国会の儀式と考えるより仕方ないだろう。法務大臣と入管庁次長(とその答弁を準備するスタッフ)が、罵倒にも近い野党質問に5時間に亘って淡々と答弁するその忍耐力には感心する。僕だったら10分でキレる。
③ 委員会では政府案と一緒に野党対案も審議されている。与党議員は政府案については質問するが野党対案に対しては質問しないので、時間は十分ある。今日の野党質問の大半はウイシュマ事件関係。2年前の衆院法務委員会と同じ質疑が繰り返されている。野党側としては質問のタネがなくなりつつあるのだろう。
今回は、参議院でも衆院の法務委員会と同じぐらいの審議時間(20時間ぐらい)をとっているから、野党は委員会採決に際して「審議時間が足りない!」と抵抗できない。衆院法務委員会で政府案修正を拒否した野党は、参院法務委員会で政府案修正協議に応じることはできない。政府案対野党案のガチンコだが、法務委員会で野党は4議席しかなく、与党系が17議席だから政府案の可決と野党対案の否決は時間の問題。国会周辺のデモや一部左翼メディアの政府案批判は与党系議員の投票行動に影響しない。それがreal politicsだ。
④ 維新の梅村みずほ議員のウイシュマ事件関係支援者についての質問はちょっとしたメロドラマ。同党の鈴木宗男議員の質問は、質問というよりは大声での恫喝。品位ゼロで子供には見せられない姿。さすが塀の中にいた人物。
国会のインターネット中継はいろいろと面白い。過去の中継動画は全てネットで公開されている
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