世界的権威のある移民政策研究所(Migration Policy Institute)が掲げた2022年の世界の移民・難民関係10大ニュース。
このリストから世界の難民を巡る大きな変動が見て取れる。1951年難民条約が想定した難民像の変質(政治亡命者から紛争難民、経済難民、そして気候変動難民)、1951年条約の限界、数の急激な増大、難民締め出し、新しい形の保護の形の出現などだ。
日本にも当てはまるのは、①、④、⑤、⑥あたりか。日本での移民難民論議は、このようなグローバルな動きを念頭に置いてされるべきだ。(日本語訳はやや意訳)
① ウクライナ危機などで、世界の強制移動者が1億人と過去最高に
② 移民の移動が南北アメリカ大陸全体に広がる
③ 東アフリカで干ばつによる飢餓で3700万人が苦境に(=>これは北側への移動圧力、”生存移民”に成り得る)
④ 労働力不足と人口減少に悩む先進国は外国人労働者(特に高度技能者)獲得に必死
⑤ コロナ禍による入国制限が緩和されているが、ビザ業務などが追い付かず、膨大な数の人々が入国を待っている
⑥ウクライナやベネズエラなどからの避難民に対して「難民認定」でなく「一時的保護」を与える動きが広がっている(日本は、ウクライナ避難民などにつき現時点では一時的保護、「補完的保護」制度ができればそちらに移行)
⑦ 洪水などの自然災害が大規模な移住を引き起こすようになり、一部の国は人道的な受け入れを始めた(=>”環境難民”問題が大きくなる)
⑧ イギリス、デンマーク、アメリカなどが多くの難民申請者を国境で追い返していて、難民保護の根幹である「領土的庇護」原則は守られていない(=>グローバル難民レジームの危機。ただし、これらの国は日本より多くの難民を受け入れている)
⑨ イタリアやスエーデンで移民・難民排斥を訴えるポピュリスト右翼政党が勢力を伸ばしているが、オーストラリアやカナダなどは移民の受入れに前向き
⑩ ウクライナ侵攻後、海外に住むロシア人への反撥が強まっている
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