8月31日のNHK国際報道2022「強制送還の限界〜入管の苦悩〜」は、入管庁で長年勤務した警備課長の声を通して、めったにメディアが報道しない入管側の声を伝える良い番組だった。
同番組に関して、一部外国人支援団体などの呼びかけに答えて、NHKに抗議のメールやファックスがたくさん送られているようだ。「入管=悪、被収容者=善」という大前提の下では、現行入管法を改正することは悪であり(改悪であり)、入管法改正を進める入管側の考えを伝えることも害悪であり、それを公的機関であるNHKがするのはもってのほかだ、となるのだろう。
このような集団行動は、担当記者の「心理的安全性」を脅かし、他の記者にも入管側の言い分を伝えることを抑止し、萎縮させる効果を狙う。つまりは「言葉狩り」を通した政治的運動に他ならないが、記者達やNHKは、この類の抗議には慣れているから、大人の対応で済ますだろう。
ちなみに、入管被収容者側の言い分はその事実・真実の確認(ファクトチェック)もせずどんどん流す一部メディアの報道も、党派性を帯びた政治的行為だ。
意見の違う者を集団の力で沈黙させようとする試みは、個人に向けられることがある。数か月前だが、僕がこのフェースブックに書き込んだことについて、某弁護士団体から抗議の手紙が「親展」として送られてきた。一市民が個人のフェースブックに書き込んだことに対して、公的な弁護士団体が抗議するのも変な話だが、もっとあきれたことには、「親展」であるはずの手紙をメディア(新聞社?)にも見せたのだそうだ。外国人の人権は守るが、日本人の発言の自由という基本的人権や「封書の秘密」は守らないトンデモ弁護士団体だ。
もう一つある。昨年にあった入管収容関係のテレビ番組での僕の発言(送還停止効に例外を設けるべし)がけしからんと言うことで、僕が以前に代表理事をしていたNPOに対して、「滝澤が関わる団体なら寄付を止める!」と抗議してきた人物がいたそうだ。彼・彼女が年に何十万円も寄付する高額寄付者であったかどうか知らないが、同NPOは困惑したろう。退職した代表理事を解雇するわけにいかないし(笑)。
個人に対する集団的威圧行動に効果があるか否かは相手による。女子大で教えていたその昔、「滝澤先生の鈍感力って凄い!」と女子学生の間で大(不)人気を誇っていた僕にはぜんぜん効果がない。「心理的安全性」など全くない国連機関で長い間働いたために「鈍感力」の持ち主になってしまったのかもしれない。であれば一種の職業病だが、単に加齢で神経が鈍くなっているだけかもしれない。
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