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ロシア:3次元の戦争

ロシアは3つの次元で戦争を仕掛けている。第1は圧倒的な軍事力による侵略だ。戦力は武器と人員の量と質、それに戦略で決まるが、ウクライナはその点で弱体だから、短期的な軍事的敗北は避けられない。しかし、ウクライナの国民的抵抗と西側による厳しい制裁が広がれば、ロシアの軍事的優位は長期的には減少する。短期的には勝っても、長期的には負けうる。軍人の判断が大きい分野。

第2は国際法の次元だ。ロシアは主権国家ウクライナの主権と領土を侵害し、国際的に認められた国境を武力で変更しようとする点で国際法を破っている。日本政府がこの点を明確にしたのはいいことだ。

ただ、国際法違反でもその是正を強制する力を国際社会は持たない。その役割を期待されている国連安保理は、ロシアが常任理事国で拒否権を持っているので全く機能しない。国際法は守られているからこそ意味があるわけで、ロシアのように自国の勝手な理屈でそれを無視する大国が出てくれば意味を失う。短期的に法律家に期待できることはあまりない。

第3は国際社会の基本的価値をめぐる戦いだ。日本を含む西側諸国は自由と民主主義を共有するが、ロシアは共有しない。個人の自由よりも(指導者が定義する)国全体の利益を優先する権威主義的・全体主義的国家で、中国もそうだ。21世紀になってそのような国が増えており、ロシアのウクライナ侵略はその流れの中で起きている。歴史家、さらには哲学者の判断が貴重だ。

いずれの次元でも最終的には政治家の判断と行動が事態の帰趨を決める。西側民主主義国家に必要なのは、リアリスト的な覚めた目で国際関係を見ること、自国への経済的悪影響も覚悟で強い制裁を長期に亘って続けること、そして難民救済を含む人道支援を強化/継続することだろう。

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