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ウクライナ支援の意義

岸田首相のウクライナ訪問の意義には、様々な報道にあるように、①ウクライナへの政治的支援、②国際社会に対する日本の貢献、③日本とウクライナの将来の有効・経済関係の強化などがあるが、さらに④避難民の流出を抑えることへの貢献もある。 ポーランドで会った避難民は「できるだけウクライナに近いポーランドに留まりたい」と言っていたが、それは情勢が落ちついたらすぐに帰国したいからだ。このことは国内避難民にも当てはまり、彼らはできるだけ自分の生まれ育った故郷の近くの町に避難する。ロシアの攻撃のためやむを得ず望まない形で国内・越境移動するウクライナ人は、国民の半数(1300万人)にも上る。 日本が、人道支援によって食料・医療・シェルターなどを提供するならば、人々が生き延びることができる環境を整備でき、国内の他の地域や国外への移動を一時的にでも減少できる。 また、GNPが3割以上下がる中で、財政的支援によって国内の経済的・社会的問題を緩和し、雇用機会の創出や社会インフラの修復ができるなら、それも人々が逃げなくても済む可能性を高める。 難民を巡る議論は、彼らが国境に来たらどう保護するか、という形をとりやすいが、それ以前の段階で人々が移動しなくても済む環境をどう作れるかという問題も、広い意味での、またより本質的な意味での難民保護だ。ウクライナの現況では、国内避難民支援が必要だし有効だ。 日本のウクライナに対する地雷除去などを含む人道財政支の実績と約束は、有償無償を含めて76億ドル(約9800億円)に達し、30年間に亘るアフガンへの支援額7000億円を上回る。群雄割拠の内戦が続いて破綻国家となったアフガニスタンと違って、ウクライナは政府と国民が結束してロシアと戦っており、ガバナンスも改善されているから、日本の支援が無駄になることはない。それは数十万人、数百万人を助け、かつルールに基づく国際秩序の回復と平和への投資だ。 100万人前後のウクライナ避難民が滞在するポーランドに、日本が例外的にODA支援をすることを決めたのもいいことだ。 もちろん、避難民の難民の流出を止めるには、ウクライナが戦争に勝ち(または負けず)、平和を取り戻すことが最重要だ。その限界を踏まえた上でも、日本の人道的・財政的支援は、ウクライナ避難民2300人の受入れ以上に、大きな意義がある。 難民政策は、国内避難民支援を含め、今までよりもっと広い文脈で考えることが必要だ。

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