今回は、英国の内務省ビザ・移住セクションがウエブで公開している難民申請者のための手引きの紹介。30ページのこの手引きは、英国で難民申請をしようとする者が知りたいことが網羅的に書かれている。例えば:
ー申請登録で準備していくもの ー登録のための面接で聞かれること、その日の宿泊施設 ー本番の面接に同伴できる弁護士を探す方法 ―難民と認定される「5つの理由」と「迫害のおそれ」の説明 ー証拠の出し方、パスポートなど書類がない場合の対応 ー結果が出るまでの時間、申請中の就労許可や生活費補助の条件 ー支援団体などの連絡先 ―不認定となったり、収容された場合の対応 ー難民申請者の権利と義務
などなど、30ページにわたって、申請者の立場に立って事細かに書かれている。難民申請者はこれを読めば、どんな準備をしていけばいいか、どんな質問が出るか、結論が出てからの処遇などを知ることができるから、不安なく面接に臨める。
日本では入管法が改正されたが、入管庁にはこれほど詳細な申請者のための手引きはないだろう。改正法に付いた15ある付帯決議では認定のあり方についてさらに改善が求められているが、この手引きを読めば、先進的と言われる英国の難民認定実務が見えてきて、具体的な改善策の参考になる。面接の際の弁護士同伴や録音が認められていることなども参考になる。
英国ではフランスからのボートに乗った不法入国者が年に45000人にも達し、死亡事件が後を絶たない。それに反発する声にも押されて、議会上院はそのような入国者をルワンダに送り込むという過激な法案を審議中だ。フランスが「安全な第三国」であるにもかかわらず、なぜ危険を冒してまで英国に行こうとするか、色々な理由があるが、この手引きに見られる「申請を助ける」姿勢もその一つではないか。
入管法改正の国会審議では参与員などのことばかりが取り上げられたが、ここに見られるような英国など各国の実務などももっと議論されるべきではなかったか。
原文は下のウエブサイトからアクセスできる。グーグル翻訳などの翻訳ソフトを使えば簡単に日本語に翻訳できる。超おススメ。
Comments