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なぜ外国の見知らない難民を助けるのか?

認定NPO法人「あおぞら」の葉田理事長(総合診療医)の呼びかけで、中東・ガザのパレスチナ難民にマスク10万枚を送ろうというクラウドファンディングが始まった。

送り先は国連パレスチナ難民機関(UNRWA)で、保健医療局長の清田先生が配布などに責任を持つ。先日にキックオフのオンライン講演会があった(下の写真)。僕もかってUNRWAで働いたことがあるので、UNRWAとUNHCRの違いなどを話した。清田先生も葉田先生もパッションと行動力と明るさに溢れる人なので、楽しい講演会となった。

参加者からの質問に「なぜガザのパレスチナ難民を助けるの?」というのがあった。言外に「日本でもコロナで職や家を失って窮している人がたくさんいるのになぜわざわざ外国に..」という気持ちが感じられる。

これはしばしば開発・人道支援者に向けられる大切な問いだ。僕の個人的な答えはワールド・ビジョンの創立者ボブ・ピアスの「全ての人に何もかもできなくとも、誰かのために何かはできる」という言葉。

その「誰か」を見つけるのはなにかの「縁」だろうと思う。僕がパレスチナ難民に関心を持つのはたまたま1983年から9年間UNRWAで働いたから。清田先生もたまたま10年前からUNRWAで働いているから。葉田先生はそんな清田先生とたまたま知り合って、パレスチナ難民の苦境とそこで奮闘する難民を知ったから。パレスチナ難民でなければならない必然性はない。ただ、知ってしまうと何かをしたくなる。

世界には自分の責任でなく苦しんでいる人が数千万人、数億人もいる。彼ら・彼女たちはみな支援を必要としている。それを知って、手を差し伸べたいと考える人も数百万人いる。その両者の結びつきは多分に偶然だ。その偶然によって私たちは「誰かのために何か」をしたいと思い、動く。

動いた人を見て、ほかの人が「私も縁のある誰かのために何かをしよう」と考えるかもしれない。そういう人が世界中に何百万人も何千万人も出て来て「支援の分業」をするなら、全体としてより多くの人が助けられ、世界は少し良くなる。

世界中に問題は無数にあり、私たちはその問題解決に優劣をつけることはできない。今、コロナで職と家を失い途方に暮れる日本人と、73年間も難民生活を続けるパレスチナ人のどちらが援助されるべきか、という問いに答えはない。両者とも援助を必要としているのだ。

マクロなレベルで「どの集団や国を助けるべきか」を決めるのは政府であり、国際機関だ。公的な機関は、資金に制約がある以上、何らかの選択基準で援助対象に優先順位をつけざるを得ない。そして優先度の高い数百万、数千万の人々を対象に支援をする。

私たち個人はそのような公的な選択基準に従う必要はない。「縁のある誰か」に何かをするだけで、立派に個人としての「救援の義務」を果たすことができる。「困った人たちを助ける人を助ける」ための寄付は、金額に関わらず、まさにそのような立派な行為だ。

ガザにマスクを送る運動は、そのような視点で考えたい。支援サイトは:

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