この数日の読売新聞朝刊の、世界の難民問題についての報道。ウクライナ、スーダン、アフガニスタンの3カ国出身の難民だけで1100万人になる。世界全体では3700万人の難民がいる。その多くが、水も食料も医薬品も不足し、住む場所すらない避難生活をしている。まさに未曾有の人道危機だ。
日本が官民で問うべき重要な問題は、これら数千万人の難民をどう助けるか、ということ。
ところが一部のメディアやNGOや国会議員は、入管法改正論議の中で、日本で難民不認定となりながら帰国を拒否しているごく少数の外国人の問題だけを取り上げ、それだけが国際的大問題であるかの如く政府批判を続けている。
この2年間で日本の内外の難民をめぐる状況は劇的に変わった。それなのに2年前と全く同じ「廃案一択」= 現行法維持をお経のように繰り返している。
数人の国連共同報告者の入管法改正についての(拘束力のない)見解が出ると「改正案は国際法違反だ!」と大々的に取り上げるが、UNHCRが「世界の難民などの移動を強いられた人々が1億人を超えた」と発表しても沈黙する。国連関係の報告を都合よく利用している。
国際的視野に欠け、俯瞰的に問題を把握できず、変化する状況に適応できない一部メディアやNGO活動家、国会議員に対する大半の国民の反応は、当然ながら冷めている。入管法改正反対運動は盛り上がらない。9日、改正案は滞りなく衆議院を通過した。参議院も同じ結果になる。
他方で、海外の難民支援のための民間からの募金は去年だけで200数十億円になった。単純計算で100万人ぐらいが寄付したのだろう。多くの日本人は「いま、何がより重要か」を理解している。
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