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「難民認定率」とは?

欧米のホテルでテレビを観ると、ウクライナ戦争のほか移民難民(国際的移住)についてのニュースが多い。

アメリカでは、中南米諸国から押し寄せる移民難民の不法入国が急増し、バイデンはトランプと同じような移民難民の排除政策を強いられている。去年は235万人の不法入国者が国外退去処分になった。難民申請すら拒否された者も多い。

英国は、英仏海峡をボートで渡って不法入国しようとする者(去年は8万人以上)の入国を禁止するを法律を検討中だ。難民申請も認めない。先日、フランスに3年間で700億円を払って、同国に収容施設を作るなど出国阻止策をとることを両国で合意した。

デンマークはシリア難民の送還をしている。オーストラリアの海上での不法移民排除政策も知られている。地中海を渡ってくる移民難民へのイタリアやギリシャの厳しい対応も続き、毎年数百から数千人の死者が出る。欧米諸国の多くが難民条約を公然と破っているが、UNHCR はそれを止められない。

難民申請を拒否されれば、「難民認定申請者」にならないから、難民認定率の分母が小さくなって難民認定率は高くなる。EUでは「補完的保護」が難民認定率の分子に加えられるから、これも認定率を上げる。他方で800万人から900万人のウクライナ避難民は、「一時的保護」を受けている限り難民認定は申請できないから、認定率の計算に入らず、認定率を大きく下げる。

ポーランドでは、北部ベラルーシとの国境で中東からの移民難民を追い返している一方で、ウクライナ避難民は今も150万人ぐらい受け入れている。同国の「難民認定率」はどうなるか?それをどう評価すべきか?

それが今回の調査の一つのポイントだが、難民としての認定のほか、補完的保護とか一時的保護、または留学生としての受け入れなど、難民の保護の形態が多様化する今日、「難民認定率」の持つ意味は相対化され、国際的な難民保護の指標の一つに過ぎなくなる。その使用には注意が必要だ。

日本でも、昨年の難民認定率がまもなく発表になるが、ウクライナ避難民や多くのミャンマー特別措置対象者の1万人以上は難民申請をしていない。日本で庇護されているのに分母に入らず、「難民認定率」には反映されない。分母と分子に何を入れ、何を入れないかで、率は大きく変わる。入管庁が昨年の「認定率」や「庇護率」をどう計算するか興味深いが、昨年13000人が日本に救われたことを無視して「日本の難民認定率は0.7パーセント」などと批判するのは政治的意図を持った行為。

世界的な「排除」の動きの一方で、移民難民の人権を守ろうとする動きも欧米諸国で根強く、例えば不法入国•滞在者の収容も限定的だ。ポーランドでは、ベラルーシとの国境で不法入国しようとする中東アフリカからの移民難民を追い返しているが、ケアなどのNGOは、危険を冒した救援活動をしている。しかしその結果、アメリカの不法滞在者は1100万人以上、英仏独などでは推定で80万から120万人、欧州全体では500万人近い不法滞在者(非正規移民)がいる。不法滞在者の送還を厳格に行う日本のそれは6万人前後にとどまる。

グローバルな危機の背景には、迫害、紛争、貧困を逃れる数百万人の人々が、中東アフリカや中南米などから北側先進国を目指し、それに北側の国民と政府が脅威を感じていることがある。問題は根深く、解決は難しい。

移民や難民の国際的移住自体は、移住者・出身国・受け入れ国のためになるというのが一般的な見方だ。問題はそれが密航業者の暗躍などで非合法・無秩序に行われていること。バイデンも「合法的にアメリカに来てくれ」と言っている。

島国であるなど国境管理が容易な日本での移民難民問題の規模は、国際比較で見れば小さく、政治社会問題にもなっていない。入管法改正には議論もあるが、移民難民排斥を訴える政党はない。

グローバル移民難民危機の緩和に、日本は何か新しいアイデアを出せないだろうか?

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