首相も法務大臣も言っているのだから、準難民(補完的保護対象者)制度を盛り込んだ入管法改正案が秋の国会に出されるのだろう。ウクライナ避難民の来日が続くなかでタイムリーだ。
改正法の下では、「補完的保護対象者」と認定されるには、1951年難民条約に定める迫害の理由(人種、宗教、国籍、特定社会集団、政治的意見)以外の理由(たとえば国内紛争や外国からの侵略)が認められる。しかし、重要な点は「迫害」の要件はそのまま残ることだ。
この新制度が機能するには、「迫害」の認定も弾力的にする必要がある。ロシア軍が無差別砲爆撃や虐殺などの戦争犯罪を犯しているウクライナから「命を守るために」逃げてきた者(今回の避難民)は、個人的にも集団的にも「迫害」を受けるおそれが十分あると言えるだろう。
日本に来たウクライナ避難民のうちどのくらいが難民や準難民としての認定を求めるかわからない。しかし「迫害」の認定が(今までと同じように)厳格すぎたり、出身国情報が十分でないために、ウクライナ避難民(や今後来るかもしれない紛争・戦争避難民)のごく一部しか「準難民(補完的保護対象者)」と認定されないなら、わざわざ準難民制度を作る意味がない。
首相や法相が繰り返し「準難民」制度創設をいうから、申請すれば認定になると思われるが、新制度のあり方だけでなく、それをどう運用するかも重要なポイントだ。「過大な期待(宣伝)と過少な結果(保護)」、「仏作って魂入れず」にならないようにしないと、救済される人は増えない。
難民・避難民について政治が大きく動いたときは、行政も大きく動くべきだ。日本の難民政策が変わるいい機会だ。
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