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「ルールと人権を守って国際化」

大雪になった 6日には入管庁佐々木長官に日本の難民政策をめぐる科研費研究の一環としてインタビュー。佐々木長官は1985年に入管局に入ったが、僕は1976年(昭和51年)から77年まで1年間入管局にいたので僕が「先輩」に当たる(笑)。で、先輩面(づら)して一言。

佐々木長官の言葉に「昭和の入管からの脱却」があったが、それで思うことがある。1976年ごろの外国人の入国・出国数はともに約78万人。在留外国人数は約75万人で大半が韓国・朝鮮国籍者だった。入管の主要な仕事は不法入国の取り締まりや退去強制だった。職員数も1000人前後ではなかったか。1975年には9人のベトナム難民が日本にたどり着いたが、日本が難民条約に加入したのは1981年だったから、入管には難民対応の職員もいなかったし、UNHCRも駐日事務所は置いてなかった。入管職員には外国人の人権擁護についての意識は低く、外国人は治安対策の対象だった。

 もっとも、国際人権規約(自由権規約と社会権規約)が発効したのは1976年であり、人権規範が広く世界に浸透していたとも言えない時代ではあった。「入管白書」はガリ版刷りで5年に一回しか発行されず、透明性や説明責任などという概念はなかった。入管は極めて「閉ざされた組織」であった。それが「昭和の入管」の姿だったのだ。

それから40年以上経ち、外国コロナで一時的に下がっているものの訪日外国人数は3000万人を超え、在留外国人も300万人に近くなり、国籍も多様だ。入管は2019年に庁に格上げされ、その任務と規模は拡大した。人労働者の受け入れが始まり、「外国人との共生のための総合調整機能」も入管庁の任務に加えられた。難民申請数も年に数千件にのぼり、難民調査官の数は兼任を含めて120名近いし、スタッフ数20人前後の「難民認定室」という専門部局もできた。UNHCR駐日事務所より大きい。入管庁の職員数は6000人を超え、定員増加が認められない中央省庁の中では例外だ。ホームページで入管庁の大抵の文書は見れるし、入管白書も毎年出る。これが変わりつつある「令和の入管」の姿だ。

 では「組織文化」、意識の問題はどうか。2007年(平成19年)にUNHCR駐日代表として着任して入管局長に挨拶に行ったときもらった名刺に、「ルールを守って国際化」と赤字のスタンプが押されていた。この標語は1987年ごろにできたものらしい。その意味は「日本に来る外国人はすべからく日本の法律を守るように」ということであったろうが、それはまさに「昭和(と平成)の入管」の中心的発想・意識であったと言える。

それから15年、入管批判のただ中で改革が進む「令和の入管」の考え方はどうあるべきなのか?それは「ルールと人権を守って国際化」ということではないか。

 まず、ルールを守る義務は外国人だけではなく、入管職員にも技能実習生を雇用する企業にも、さらに日本国民にもある。

 さらに、外国人の人権も守る。外国人の力なしでは存続すら疑わしい日本では、彼ら・彼女らが来て働き住みたいと思う環境づくりが必要だ。昭和の意識が「外国人は入れない」、平成が「外国人を入れてやる」であるなら、令和のそれは「外国人に来てもらう」だろう。そのためにも外国人の人権は日本人の人権と同じく尊重されるべきだ。

 「国家の権利」が強調され「外国人の人権」が軽視されてきた長年の慣行を、両者がバランスした形にすることが求められるのだ。両立はとても難しいことだが(欧米諸国も苦労している)、「外国人との共生社会」には必須の最低条件だろう。入管がもっと「開かれた組織」になることも必要だ。

提案: 35年前に作られた「ルールを守って国際化」の標語を変えて、「ルールと人権を守って国際化」というフレーズを入管職員の名刺に赤字で刷り込んだらどうだろう。三文字加えるだけで標語の対象範囲がぐっと広がり、入管庁職員の意識も入管庁のイメージも変わるのではないか。

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